第1225回夢日記 雪と空

あるところに二人の姉妹がいた。仮に姉をアキ、妹をサキという名前にしておこう。
彼女たちは母と三人で暮らしていた。父は他界したのか、離婚したのか、単身赴任中なのか、分からない。
よく雪の積もる北の大地の平原と森の境に、小さな家を建てて住んでいた。


姉妹にはそれぞれ思い人がいて、それぞれ結婚を考えた付き合いをしていた。
仮に姉のアキの思い人をケンタロウ、妹のサキの思い人をナオキとしておく。
ケンタロウは熊のような大男であったが、のんびりとした森の生活を好む男だった。
ナオキは細身だがガッシリとした体躯で、平原を颯爽と越えて毎日姉妹の家までやってくる都会人であった。


おっとりした性格のアキと竹を割ったようなあっさりした性格のサキには、それぞれぴったりの相手だった。
母も二人を気に入り、五人でよく夕食を共にした。


ある大雪の日、ナオキが仕事を終えて姉妹の家までやってきた。
車から降りてザクザクと家までの短い道を歩いていると、車が横滑りしてきてナオキに激突する。


ナオキは雪と車の下敷きになった。


大きな音に気づいて駆けつけるケンタロウと姉妹。
吹雪の中、ケンタロウは普段は見せない渾身の力を振り絞って車を持ち上げ、その隙にサキがナオキを引き擦り出した。
しかし、ナオキの体は妙にしぼんでいて、代わりにヘンテコな球体が宙に浮いていた。
それは小さな宇宙船で、ナオキは宇宙人だったのである。小さな宇宙船に乗って空にかえってゆくナオキは、サキに近づき、何かムラカミハルキ的なことを言い残す。やれやれ。


ナオキだったものが空を上っていった。
姉妹とケンタロウはそれを呆然と眺めているしかなかった。
雪の降る空の真上を、姉妹とケンタロウはいつまでも眺めていた。


やっぱり名前はなかったほうがよかったかも。
そんな感じの第1225回夢日記。やれやれ。