第1222回夢日記 競馬場

彼女が競馬を観たいと言い出したので、電車に乗って遠い町の競馬場まで見に行った。


そこはどこか山の近くのような、海の近くのような寂れた町だった。
ラクターが走り、藁を敷き詰めた道ができていたから単なる田舎町だったのかもしれない。


兎にも角にも、二人は競馬場までやってきた。


競馬場の中に入ったはいいが、まだ目的のレースは始まっていなかった。
目的のレースは14:00から。まだ2時間ほど時間がある。
3、4人で騒いでいる子供達が僕らをからかった。
でも僕らが何か言う前に彼らは消えてしまった。


席に着くと、彼女がこの町にないものを食べたいと言い出した。
彼女を一人座席に残し、僕は一人電車に乗って買い出しに行った。


外の風景を眺めているうちに、隣町に着く。
そこは隣町と同じような町で、競馬場があるかないかの違いだけだった。



僕は必死にその町にしかない食べ物を探す。
しかしそのうちに、うとうとと木陰で眠ってしまった。



キャタキャタと鳴る乾いた音がして起きてみると、この町にしかない食べ物のことなど頭からすっ飛んでしまった。
サルがトラクターを運転していた。
必死に人間を探すが、サルしかいない。
サル、サル、サル。どこに行ってもみんなサルだった。
彼女のことが心配になったので、とりあえず電車に乗って隣町の競馬場に向かう。


駅から競馬場までの道を僕は走る。
競馬場へ向かう車もみんなサルが運転していた。
サルのトラクターに、サルを乗せたサルのタクシー。
藁でできた黄色い道がよく似合った。


競馬場に着くと、大量のサルの蠢きに圧倒される。
こんな場所で果たして僕は彼女を捜せるのだろうか?
不安を覚えながら席へ向かう途中、さっき僕らをからかってきた子供たちが見えた。
彼らだけは、サルではなく、人間だった。
声をかけようとしたが、彼らはどこかへと走り去ってしまった。


まあいい。
今は彼女の安否を確かめる方が重要だ。
僕は席へと急いだ。


サルゴミの中をかき分け、彼女のいる席まで辿り着く。
彼女は隣のサルと何かを話している。
彼女もサルになってしまったのだろうか?
分からない。
ここでは彼女の背中しか見えない。
しかし僕はそこから一歩も動けない。
彼女の前に立つことを想像してしまったからだ。



「彼女はサル?人間?」



どうしようもない恐怖と不安の前に、僕は立ち尽くすことしかできなかった。



そして次の瞬間、蛍光灯が僕の目を刺してベッドの中にいる自分を発見する。
すべて夢だったのだと気づき、ほっと胸をなで下ろす。


普段の僕はコーヒーを淹れるが、今日は久しぶりにココアを淹れた。
それを飲みながらいまはこれを書いている。


そんな感じの第1222回夢日記